本のご紹介『新しい芸術療法の流れクリエィティブ・アーツセラピー』

新しい芸術療法の流れクリエイティブ・アーツセラピー新しい芸術療法の流れクリエイティブ・アーツセラピー
(2008/01)
関 則雄

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知人がこの本に執筆しています。尾方美樹さんという、ニカラグアで演劇を通じたユニークな活動をしてきた人です。

人の気持ちが変わるきっかけって、なんだろうかなあと考えたことがありせんか。
『存在が意識を決定する』じゃないですけど、やっぱり人ってその立場によって考え方が、あるいは少なくとも対外的にあらわす態度は、決まってしまうのかなあっていう諦めを感じたことは?

例えば製造業の会社員であれば自社製品の欠点は言えないし、建設業であれば決してガソリン税の暫定税率廃止に反対とは言えないし、役所の人間であればいかに仕事をしない人が職場にたくさんいるかということは言えないんですよね。立場が発言を規定しているという思いがします。

本音ではそう思っていても、声に出せないって状態が多いんです。その壁をどうやったら打ち破れるんだろうかと。

もちろん、いろんなきっかけがあるでしょうが、アートに触れたときがそのひとつかもしれません。自分のことを考えても、小説、エッセイ、演劇、映画に接して、考え方が変わったあるいは後押しされたことがあります。

尾方さんは昨年9月の演劇が終わった後、観客に「心とか人生が動くきっかけに、今日の日がなればと願っています」と述べています。ですから、彼女が演劇を通じて観客の意識の変化を期待しているのは事実です。

しかし、その意識の変化は、いわゆる「啓発」「啓蒙」(悪い言葉で言えばマインドコントロールです)といったものとは異なります。

それは、観客は芝居のストーリーや演技に感動するのではなく、演じ手が解放されていくプロセスに立ち会うことに感動するからです。それは、この芝居の目的が、演じ手の意識を解放することだからに他なりません。

尾方さんの演劇に登場する人たちはみんな素人です。そしてそれぞれが重い課題を抱えています。その体験を観客に話すことで、演じ手は普段とは異なった少し暮らしやすい位相へと身を移すことが出来ているように思います。観客は、見る・聞くことによって、演じ手の「移動」を助け、間接的に芝居に参加していることに不思議な感覚を味わうことになります。

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