緑の光線

  • Day:2008.01.05 22:08
  • Cat:映画
図書館が開いたので、満を持して馳せ参じました。
DVDの棚を端から順番に眺めていきます。今年最初の一本ということもあり、少し硬いものを見てみたい気分でした。
サタジット・レイかルイ・マルか、『モスクワは涙を信じない』なんてのもあるな・・・。

と、目を疑いました。
あるはずのないものを見てしまった驚き、口座残高が10桁あったとしてもこんなに驚かないと思います。

『緑の光線』エリック・ロメール監督。まさか、この映画がこんな場所にあるとは。
今朝ご紹介した佐藤真監督が、生涯ベスト1と書いていたこの映画を口開けに見られるなんて、今年はいい年になるかもしれません。

物語は簡単です。パリに住み秘書として働くデルフィーヌは、バカンスを一緒に過ごす約束をしていた女友達からドタキャンされ、ギリシャ旅行がパーになってしまいます。2年前に恋人と別れて以来新しい恋にめぐり合えない彼女は、友人たちからさんざん叱咤激励されシェルブールやビアリッツ等々に行きますが、どこへ行っても居場所がなく、焦燥感に駆られ泣き出してしまいます。

この映画の魅力はデルフィーヌが泣く場面のいたたまれなさと、そこにいたるまでに交わされる家族やともだちとの「普通」のやりとり。デルフィーヌは4回泣くのですが、そのたびに、誰もが体験したことのある無力感、絶望、孤独を否応なく思い出させられてしまいます。それまで交わされる会話に感情の起伏がほとんどないことが、デルフィーヌの嗚咽を際立たせています。役者たちは、演技していないような演技をしています。普通に食事しているグループを、普通に撮ったかのようなシーンが収められています。

「緑の光線」の意味はジュール・ヴェルヌの同名の小説から。日没後放たれる緑色の光を見た者は、人の気持ちが分かるようになるというのです。

この後、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(セルジオ・レオーネ)の前編を見ました。こちらはのっけから殺人あり、流血ありですが、それはそれとして面白く見ました。

人生を考えさせる映画と、人生を忘れさせる映画があります

今日、日没を某病院の窓から見ていましたが、橙色の光線しか見えませんでした。
人の心は、分からないほうがいいかもしれません。

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(2007/05/26)
マリー・リヴィエール、ヴァンサン・ゴーチエ 他

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