産廃処分場差し止め裁判

  • Day:2007.02.10 21:59
  • Cat:動機
銚子市、旭市、東庄町にまたがる管理型産業廃棄物最終処分場の差し止め訴訟の判決が1月31日に行われました。
結果は、原告側の主張を概ね認めるものでした。今夕、その報告会が松ヶ谷共同館で開かれるというのでお邪魔してきました。原告の産廃反対東総住民連絡会の主催です。
松ヶ谷報告会


いろいろ勉強になりました。ポイントを整理します。
(1)産業廃棄処分場には安定型と管理型があり、安定型は、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず、がれき類の5品目を埋め立てます。これらは時間が経過しても性質が変化しないものです。管理型は、汚泥や燃え殻など、時間が経過すると変化するもの、つまり汚水が染み出したりするものを扱います。こちらの方が遮水シートを敷いたり手間暇がかかります。
(2)今回争われたのは管理型タイプです。遮水シートを敷き、その下には粘性土ライナーというものがあり、漏水検知システムや水処理装置で汚染を防ぐという計画のものでした。管理型処分場での差止め判決は鹿児島県鹿屋市の訴訟に続く2例めで大変意義深いこと。(安定型では勝訴例が多いようです)
(3)判決のポイントは、a)技術的な疑問(遮水シートには破損事故の事例があること、粘性土ライナーは地下水に直接触れると機能しないこと)、b)実施業者の維持管理能力への疑問(資金計画に無理があること、多額の債務があること、同和団体を称する組織を使って原告側に圧力をかけたことなど)です。
(4)公判のたびに多くの傍聴人が詰め掛けたこと、裁判官の現地調査の際にも訴えかけたことが、効果的だったこと。
(5)被告側の控訴期限は2/14。今後も買収などいろいろなことがあるだろうが、団結する必要があること。
(6)千葉県を相手取っている行政訴訟は、3月13日に結審、5月の連休明け頃に判決となるのではないか。これに勝利することがとても重要なこと。

いったい県は何を考えているのでしょうかね。裁判官よりも県の許可担当部局の方が産廃処分場についての知識は多いはずです。その県が許可した計画がこんなずさんなものだったんなんて。調べてはいませんが、県は条例や内部規定どおりに「審査」して許可したとか主張しているんでしょうね。これやばいよなあとか思っても、役人って淡々と進めちゃいますし。この人たちの真剣な表情を前にして、そんなことが言えますか。

松ヶ谷の人たち

Comment

水源の汚染
産業廃棄物最終処分場の問題は鹿屋に続いて2例目ということですが、今後同様の訴訟が後続するだろうと思います。そのときこの処分に手を焼いているゴミはどこへ行くのでしょうか。過去にフィリピンに産業廃棄物を輸出した問題がありましたが…。

うろ覚えで恐縮ですが…。
鹿屋のケース、この処分場問題が起こる以前から肝属川という一級河川の深刻な汚染がありました。鹿屋の辺りはシラス台地で、水源を表層水や浅井戸に頼っています。これが黒豚ブームで畜産廃棄物が大量に出るようになりました。そのころ水源から大量の亜硝酸窒素が検出されました。当初、畜産農家が抗議の標的にされていたのですが、県外からの産業廃棄物が不法投棄されていることが発覚し、農家が鹿児島県庁前で抗議したというのがニュースとなったことがあります。

しかし農業廃棄物なら安全で、工業廃棄物なら安全でないとはいえないと思います。程度の問題もあるからです。北海道では牧場の出す畜産廃棄物で水源が汚染され、牛馬の死産やブルー・ベビーの増加などが報告されています。

産業廃棄物最終処分場に反対するだけでなく、このようなゴミを出さないための製造者の責任をもっと問うことが必要なんだろうなと思います。

  • 2007/02/11 16:15
  • 紫陽花
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そうですね。
紫陽花さん、いいコメントくださってありがとうございます。

本当は、ゼロエミッションというんでしょうか、ごみが出ない生産スタイルがいいんでしょう。
その「技術」も確立しているんだと思います。問題はコストですね、いつもながら。

処分場を作るのが困難であればあるほど処分場コストは増大します。そうすればごみゼロ生産方式の導入が進むかと期待します。その意味で、今回の判決は有意義だと。

ただ、問題はもちろんあります。今回勝訴したのは松ヶ谷の地下水を飲んでいる人23人だけ。他の地区や水道水を飲んでいる人は「原告適格なし」(これは日本の司法の最大の欠点です。怠慢です)として門前払いなのです。ですから仮に松ヶ谷地区全部に上水道が普及していたら勝訴はなかったわけですね。でも、地下水汚染の危険性になんら変わりはありません。飲み水だけじゃあないですからね。日本の司法は、訴訟提起されたものだけ、しかも原告に直接関係のあるものだけを取り扱っています。いい加減こんなことをやめて、真に正しいことを求めて欲しいものです。
水道が普及すればするほど、処分場適地が増えていくことになるなんて「パラドックス」もいいところじゃあありませんヵ?こんなことだから、司法にうさんくささがいつまでもつきまとうんですよ。今回の裁判官はがんばったというのが大方の評価でしたが、こんなことで満足していてはいけないと思います。
  • 2007/02/12 23:09
  • おおみや
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なるほど。
これらの判決でゼロエミッションの生産方式が進めばいいですね。

しかし、「原告適格なし」の制度によって門前払いというのは、問題ですね。司法の先例主義も問題ですが…。鹿屋の件が有利に進んだのは上水道が普及していなかったからということになりますね。

身近な問題ながら、知らないことが多いです。とても勉強になります。

  • 2007/02/14 09:05
  • 紫陽花
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