故里は遠きにありて思うもの…ではない!

  • Day:2005.05.08 10:29
  • Cat:動機
 【山が消えた】

 この衝撃的なタイトルを書店で見て、思わず本を手にとりレジへ急ぎました。でも、まさか自分の故里のことが書かれているとは思いませんでしたが…。

 著者は女子栄養大学で保健社会学を教えてられる佐久間充先生。昭和59年には、千葉県中西部(君津市周辺)の山砂を運ぶダンプによる健康被害を調査し、「ああダンプ街道」(岩波新書)にまとめられています。
 「山が消えた・残土産廃戦争」は、この20年後の追跡調査であるとともに、東北、豊島(香川県)などで現在起こっている産廃問題についての報告でもあります。
 
 そこにあったのです。私の生まれ故郷でも産廃問題が起こっていたのです。

 千葉県の東北部、銚子市と隣接する東庄町(とうのしょうまち)、海上町(うなかみまち)の境界で、産廃処分場の建設を巡って住民による反対運動が起こり、建設差し止めの仮処分申請までがなされていました。
 26年前に故里を出て、年に数回里帰りをするだけの私は、恥ずかしながらこのことをほとんど知りませんでした。いや、情報には接していたのかもしれませんが、自分のこととしてとらえていませんでした。「環境科学」なんてものの学位を持っているくせに、全く足元が見えていません。

 本書によれば、昭和63年に持ち上がったこの産廃処分場建設計画は、3つの自治体にまたがる谷津が計画地で、総面積6.7ha、埋立容量は115万㎥という大規模なものでした。住民たちは飲用水や、特産品のマッシュルーム、春菊、パセリに影響があるとして反対運動を展開したのです。
 しかし、1市2町の反対決議や海上町の住民投票での圧倒的な反対票にもかかわらず、千葉県は処分場設置を許可してしまいました。平成13年3月1日のことで、沼田県政最後の「置き土産」と言われています。

 舞台は法廷へと移り、千葉県知事に対する「処分場設置許可取り消し」を求める行政訴訟と、業者に対する「処分場工事および操業差止めの仮処分申請」が千葉地裁になされました。工事差止めの仮処分申請については、平成15年6月に「汚染可能性はない」として却下されたため、住民側は東京高裁に抗告を申し立て現在も係争中です。

 これだけでもびっくりしたのに、さらに驚いたことには、この地域には問題となっているこの処分場以外に、50か所も不法投棄、産廃処分場があるとのことです。50か所といったら、「犬も歩けば産廃に当たる」状態ではないですか!

 このままでは故里の里山はすべて産廃処分場になってしまう、せいぜいゴルフ場として生き延びるのが関の山です。大げさかもしれませんが、私がこんな酔狂なことを始めた動機のひとつは、こんな危機感があるのです。





ああダンプ街道



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