一本の木

2004年の12月26日。覚えていますか。

インド洋スマトラ島沖の巨大地震と周辺の地を襲った未曾有の大津波のことです。
最も被害の大きかったインドネシアのバンダアチェでは、10数万人の命が失われたといいます。
津波から一月後、私はバンダアチェを訪れました。飛行機から見た街は、海岸線から2kmほど、どす黒い地面が広がっていました。生命の兆しが感じられない地面があるだけです。その内陸側の以前と変わらぬ町並みとのあまりの落差に、言葉を失いました。

私たちは被災状況を見るために街の中を回りました。学校も保健所も田圃も泥だらけでした。一月経っていることもあり、幹線道路は車が通れる状態になっていましたが、路地へ入ると打ち上げられた漁船や家財が散乱していました。

海岸沿いは高級住宅街だったようですが、何もありませんでした。いや、正確にはブロックやコンクリート、木材の破片がありました。高さのあるものがなく、見渡す限り瓦礫です。

でも、海に最も近いところに一本の木が残っていました。

aceh pohon


樹冠まで塩水を浴びたであろうに、この樹は生きていました。
何かを守るように、倒れるもんかと歯を食いしばって根を踏ん張っているように。
そして、この一月の間に育ったであろう新芽がみずみずしい色をたたえていました。

aceh daun

11月にこの街を再訪することになりました。2年経て、この木に再会できることがとても楽しみです。

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