ワンチュク国王

「あったかかったから、手を洗いたくない」

そこを理想郷と呼ぶのはたぶん間違っているのだろう。たとえ人々は穏やかで、山と水は美しく、松茸がたくさん取れて、汚職の「お」の字も存在せず、国民の9割以上が幸福と感じているとしても、外国人の入国には厳しい制限があり、服装も喫煙の自由もなく、一人当たり国民所得は決して多いとは言えない、そんな国に幻想を抱いてはいけない。

と、そう思ってきた。1995年に訪問する前も、してからも。

現に訪問後間もなくブータン政府高官と日本企業の贈収賄事件が朝日新聞の一面を飾った。やはりどの国もいろんな問題を抱えているのだと変に納得した。小さい人間だ。

ポマードでなでつけた髪型に、袖口の白さが目を引くドテラのような民族衣装「ゴ」をまとい、福島の小学生と握手をしたワンチュク国王は、その少年に少なくともひとときの「あたたかさ」を与えた。そのぬくもりは「幸せ」と呼んでもよいかもしれない。多くの政治家が福島を「視察」したが、誰一人としてできなかったことだ。

この人が自ら王制を立憲君主制に改め、2008年に憲法を発布した人か、若い、ちょっと猪木みたいだ、でもうそつきの顔じゃない、ユーモアもある、王妃はまたなんとも美しい、と、誰もが矢継ぎ早にそのような感想をいだいただろう。

そのすがすがしさは、二人の若さから発せられるだけではない。自分たちの文化を大切にしていることが一目で見てとれるような仕種と、含蓄のある言葉からも放たれ、私をも幸福にしてくれた。

「つらいときは、自分の心の中にある龍が大きくなっているんだよ」
「今度日本に来るときにも、この場所(小学校)へ必ず来ます」

国民の総幸福量(GNH:Gross National Happiness)、彼の先代が提唱した概念だ。今の日本のGNHはどのくらいだろうか?

bhutan26.jpg
bhutan4.jpg
bhutan25.jpg
bhutan24.jpg
bhutan23.jpg
bhutan21.jpg
bhutan11.jpg
bhutan32.jpg
bhutan31.jpg
bhutan30.jpg
bhutan29.jpg
bhutan33.jpg

Comment

管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
  • 2011/11/30 11:40
あけましておめでとうございます。
いい表情の写真ですね。95年!?若い大宮さんも写っていますね。
7枚目の写真はネパール人の衣装ですね。ネパール系ブータン人といいます。
  • 2012/01/04 00:59
  • ritz
  • URL
ritsさん あけましておめでとうございます。
7枚目の写真、どこか雰囲気が違うなと思っていたら、そういうことだったのですね。
今年もよろしくお願いします。
  • 2012/01/04 08:43
  • omiya
  • URL
Comment Form
公開設定

Trackback


→ この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。