アフリカはどうしたらいいのかについての一つの大胆な主張

  • Day:2010.10.20 07:31
  • Cat:
援助じゃアフリカは発展しない援助じゃアフリカは発展しない
(2010/07/30)
ダンビサ・モヨ

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興味をそそるタイトルに加え、刺激的な言葉が並ぶ。例えば、

「援助の失敗に関する最も憂うつな側面というのは、ドナー、政策決定者、政府、経済学者を含む学者および開発専門家がみな、援助が役立っていないし、役立ってこなかったし、これからも役立ちそうもないことを心の奥底では察知しているということである。」(62頁)

「アフリカにおける腐敗の手口のリストはほとんど無限だ。しかし、アフリカにおける腐敗の問題点は、それが存在することではない。問題は、援助がその腐敗の中でも最大のものの一つであるということである。」(70頁)

著者の論点を強引に要約すると次のようになる。
●欧州に対するマーシャルプランが成功したのは、元々社会制度が整っていた国々であり、その復興を助けたからである。
●アジア諸国の経済成長は開発独裁政権が援助資金を流用したにも関わらず国内に再投資したためである。
●アフリカの腐敗した政権は、流用した援助資金をスイスの銀行に預けてしまうので国内に投資が回らない。

さらに、例えば海外から無償・大量の蚊帳を与えることで被援助国内の蚊帳製造業が消滅する例などを挙げて、
●ひも付き援助は被援助国内の人材が能力を発揮する場を奪い、地場産業を衰退させる。
●一時的な成功は長期的には失敗になることが多い。
という。

※ ※ ※

本書がユニークなのは上記のごとく歯に衣着せぬ発言に加えて、訳者の顔ぶれだ。国際協力機構の理事ら現役の政府機関関係者がずらりと並んでいるのだ。つまり、日本の援助関係者はダンビサ・モヨの主張を世に出す価値のあるものと考えていると思える。

では訳者たちは、本書で述べられているような援助批判は日本の援助には当てはまらないと考えているのか、それとも常に内心抱いている忸怩たる思いの発露の場として本書をとらえているのだろうか。そのあたりを訳者あとがきにでも記述してくれればもっと価値ある一冊になっただろう。

※ ※ ※

本書は援助批判を展開した後、ではいったい何がアフリカを発展させるのかという問いに対しては、①援助ローンではなく起債、②海外からの直接投資、③貿易、④グラミンバンクのような貧者の銀行をあげている。為政者が蓄財に励むのではなくこれらに注力すれば真の発展が可能だという。

旧援助関係者の私が漠然と思い描いていたのは次のような発展段階である。

①援助で経済社会インフラの水準を向上させる。つまり電力や道路をローンやグラントで整備し、保健医療や教育を技術協力などでレベルアップする。
②先進国からの直接投資によって軽工業を発展させる。それまで輸入していた製品を国内生産するとともに、先進国が輸出していたものを低コストで生産し輸出する。

東南アジア諸国の経済発展はこれらに加えて円高で日本企業の製造拠点が海外にシフトする必要があったという要素が大きく作用した。

著者の論点は①の部分を援助に頼らずに行なうべき、ということであろう。問題はa)国債を発行して引き受け手がいるかということと、b)仮に発行できたとしてその償還期限までにそれに見合うほど税収が増えるかどうか、c)技術力をどうするかということだ。c)はa)b)の見通しがつけば解決する問題かもしれない。

もうちょっと議論を煮詰めていく価値はある。

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