『ザ・コーヴ』上映中止

  • Day:2010.06.16 14:50
  • Cat:映画
和歌山県太地町のイルカ漁を盗撮したことで話題になっているドキュメンタリー映画『ザ・コーヴ』の上映中止が続いている。シアターN渋谷、シネマート六本木、シネマート心斎橋などに加え、17日に予定されていた明治大学での上映も中止になった。

オフィシャルサイトによれば、上映中止の理由は「抗議電話や弊社(映画館のこと…引用者注)さらには取引先様への街宣活動の予告を受けるようになり劇場近隣店舗、取引先さらには個人の方に対し多大なご迷惑をお掛けする可能性が高まったこと」だそうである。

6月9日に中野で開かれた上映会+シンポジウムに行ってきた。主催は『創』。550人の定員からあふれた人が200人くらいいたそうだ。

一連の騒動には様々な論点があるが、シンポジウム出演者の一人、坂野正人氏が次の3つの点に整理してくれた。
①イルカ漁そのもののこと
②映画の内容や手法のこと
③上映中止のこと

※ ※ ※

①については、イルカ漁は違法なものではなく、都道府県知事の許可に基づいて行われているとだけ言っておこう。水銀の問題もあるが、少しだけなら大丈夫というのが厚生労働省の見解らしい。

③についてはどんなものでも世に出そうという人がいる限り、上映をすべきであろう。上映反対を主張することももちろん認められる。威力業務妨害になるかならないかが判断の分かれ目だろう。ただし、金儲けと思われないために、入場料は低料金に抑えるべきと思う(後述)。

③映画の内容は一言でいえばつまらない。boringだ。
唯一面白いのは、リック・オバリーという反イルカ漁の活動家だ。彼は元々『わんぱくフリッパー』というアメリカのテレビ番組でイルカを調教していた男だった。彼がなぜ180度転換したか。「10年かけて築いた業界を30年壊している」という彼の人生は面白い。薄型モニターを胸にIWCの会議に乗り込み、追い込み漁のビデオ映像を流すこの男はめったにいない情熱の人だ。

ただ、面白いのはそれだけ。後はいかにして盗み撮りを成功させるかということになるのだが、あらかじめ分かっている通りまんまと成功し、血が入江を染めるシーンがクライマックスとなる。ほんとにつまらない。リックも今では猪突猛進の活動家に過ぎず、太地町の漁民と理解し合おうという努力もなく一方的な人間になってしまった。単純至極で退屈な映画である。他人にはお勧めしない。

※ ※ ※

でもこれは見たから言えることだ。上映の機会が奪われてしまったらこういうことは言えない。だから上映中止には反対であるとは一応思う…。

歯切れが悪いのは、これが大ヒットしたら、2匹目3匹目の泥鰌を狙ったような映画が生まれるのではないかと危惧するからだ。どんな経緯があるにせよ、その場所で認められていることを行っているにすぎない人間の営みを、自分たちの価値観に基づいてバッシングするような映画が氾濫することは望ましい状態とは思えない。だから映画製作者はこれでもうけようと思ってはいけない、と思う。

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