事業仕分け

  • Day:2009.11.12 13:43
  • Cat:時事
インターネット中継も!と鳴り物入りで始まった事業仕分けであるが、画質はボロボロ、どん引きのカメラ1台だけで、誰が発言しているのかさっぱり分からない。まあ、やり取りが聞けるだけでもいいのだが。

仕分け人の突っ込みに官僚が答えるというのが基本的な構図。
その答えはかなり「痛い」ものである。
鉛筆をなめながら予算要求の理屈を考えてきたのだから、自分たちだって本心ではないことを知っている。言葉が上滑りしてしまう。聞いていて辛い。
仕分け人の意見に納得したとしても、「その通りですね、取り下げます」とは言えない。

質問者は圧倒的に有利である。絶対答えられないような質問というのがいくつかある。

たとえばベビーシッターを頼む時の補助事業について、こんな質問があった。

「全国にベビーシッターを必要としている人はどのくらいいるのか?」

そんなもん調べてたら大変だ。子どものいる世帯で、祖父母や友人に子どもを預けて外出することができない人で、ベビーシッターを頼みたい人の数を、どうやって調べろというのだろうか?

仮にアンケートによるサンプル調査なりで調べたとして、全国に数百万件単位のニーズがあると推計できたとする(月1回利用する人が10万人いれば120万件だから、そんなに非現実的な数字ではないだろう)。しかしこの事業で問題とされた補助金額は千件程度だ。その程度のニーズは調べなくても分かるだろう、というのが要求側の論理だろう。わざわざ調査する必要はない。その調査費を事業に回したほうがいい。

事業仕分けではよく民間の論理が持ち出されるが、民間企業が新製品を発売するときにマーケットリサーチだけに頼っているのではない。「勘」だ。

売れるか売れないかはいくらリサーチしても分からない。商売のセンスがものをいう。だが、仕分け人たちに、この事業はニーズがあると「勘」で思いました、などと言ったら袋叩きに合うだろう。だけど、「全体計画が見えない」という輩は、企業が新製品を販売する時に「全体計画が見えない」というだろうか。民間の論理の都合のいいところだけを適用しているのが現状である。

もちろん民間の論理を全て適用することはできない。営利追求ではないのだし、対象事業は税金で行われるのだから。

(この質問者の意図は、ベビーシッターへの補助事業よりも子ども手当のほうが優れている、ということだと思う。だったらその論理を展開すればいいのにと思うのだが、事業仕分けでは対象が個別事業や法人単位なので、このような横断的な議論はこの後のステージで行われるのだろう)

もうひとつ、相手を困らせる質問がある。

「なぜいま、その事業が必要なのですか?」というやつだ。

私だったらつい、「いや、実は再来年でもいいのですが・・・」などと答えてしまう。そうしたら役所に戻っても座る席なない。

災害対策やインフルエンザ対策のように、本当に緊急に必要なものはそんなにはない。1年や2年後になったってどうってことのないものがほとんどだ。現状がとてつもなくひどいか、その事業がなければどんどんひどくなるというもの以外はこの「なぜ今」攻撃に耐えられない。

「全体計画が見えない」と「なぜ今」。
この二つの質問を武器にすればどんどん切り捨てることができる。

問題は政府支出が減って経済がどうなるかということになるだろう。

一般予算の総額は減りはしないだろうから、問題はその使い方である。象徴的に言えば子ども手当にしたほうがいいのか、ベビーシッター補助事業にしたほうがいいのかということだ。

政府が人々から税金を吸い上げ、これを公共事業に使うことは、そうしない場合より経済効果がある、というのがケインズの主張だ。

もしも税金が半額に減税されたら、人々はその減税分の一部を貯蓄に回す。減税しなければその分は政府が全額使うから、お金が回る。おなじみの乗数効果もある。という論理展開だ。
(北欧の高負担高福祉国家の経済成長率が高いのは、このメカニズムの結果なのかもしれないとちょっと思っている。)

子ども手当の支給はある意味減税みたいなものだから、支給を受けた家計が手当全額を消費に回すかどうかは分からない。子ども手当の代わりにベビーシッター補助事業のようなものに同額を使ったほうが経済効果がある。と考えてきたのが自民党政権であり中央省庁だ。

それがどうも違うのではないかというのが今の人々の「勘」であろう。

その理由は二つ。「高コスト体質」と「天下り団体の存在」だ。この二つは密接に関連もしている。

どうも、国が金を使うとえらい高くつくんじゃないか?金が回ると言っても談合企業などの一部の連中の間で回っているだけだし、天下り官僚の退職金になっているだけではないか?新規事業をやるたびに公益法人ができて天下りポストが増え、中抜きされてるんではないか?これでは直接給付したほうが経済効果が高いし、より平等にお金が回るんじゃないだろうか。

人々はそう直感して、自民党に投票するのをやめた。

それが正しいかどうかは分からない。一つはっきりしてるのは、今のまま北欧型の高福祉高負担国家を目指したら、甘い汁を吸っている人たちがますます肥えるだろうということだ。

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  • 2009/11/12 23:57
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