複数年度主義はどうあるべきか

  • Day:2009.09.29 15:19
  • Cat:時事
9月21日の記事の続き。複数年度予算の制度設計は意外に難しい。

以下は素人の考えである。

たとえばダムを造る3年間のプロジェクトがあるとする。

1年目:20億円
2年目:80億円
3年目:50億円

1年目、予算を効率的に使って、18億円で当初予定していた業務を実施することができた。
残りの2億円をどうするか。

単年度主義では残不用として国庫に返納した場合、どういうことが起こるか、あるいは起こるのではないかと懸念されるか。

2年目の予算要求はもう終わっているから、3年目の予算要求をするときのことが問題になる。査定される。財政当局は、1年目に10%の予算節約ができたのだから、3年目は45億円でいいのではないかと言う。いや50億円必要なのだと説明するが、財政当局からは更に、1年目は積算が過大だったのではないかと言われる。仕方がないので、1年目の積算が過大ではなく、予算を節約できたのはこうこうこういう特殊な理由があったためで、これは3年目には期待できないので当初積算どおり50億円要求する・・・という「後ろ向き」の資料を深夜まで作らなければならない。

これを避けるために一番簡単な方法は、1年目に予算を使い切ることである。

※ ※ ※

ではどういう複数年度予算制度にすればよいのか?毎年10%ずつ予算を節約したとして、三つのケースを考えてみる。

1.1年目の余り2億円は国庫返納とする。決算は翌年度7月末なので、2年目の予算はすでに決定している。その80億円はそのままとする。3年目の予算要求時にも1年目の実績を基にした査定はしない。2年目の予算が8億円余ったとしても、3年目の予算は50億円のまま。3年目に5億円余れば、3年間で135億円を使ったことになり、10%の節約。

2.1年目の余り2億円を、2年目の80億円に上乗せして82億円とする。2年目は72億円を使い、累計で10億円余る。それを3年目の50億円に上乗せして60億円とする。つまり3年間で150億円という予算は変わらない。3年目に45億円使って15億円、10%の節約。

3.1年目の実績をもとに、2年目の積算単価を見直して、2年目の予算を72億円とする。減額補正予算を組む。2年目はちょうど72億円を使い、3年目の予算は45億円とする。3年目も全額執行し、総事業費は135億円。

ケース2は最も省庁の抵抗が少ないだろう。節約した分が一応繰り越されて不測の事態が生じたときには使えるという安心感がある。変な言い方だが、安心して節約できるのである。しかし無駄な金をプールしているともいえる。

ケース1.と3..は、余った予算を他に回すという大きなメリットがある。違いはいつ回すかということだ。1ではそれが翌年の予算に反映され、3では2年目以降は当該年度の予算に即反映される。

3.が最も望ましいように思える。
しかし、これでは単年度予算と変わらない。今との違いは、省庁が節約を心がけ、残余を国庫返納し、その実績に基づいた単価で積算しなおして翌年度以降の予算額を減額するということだ。

つまりは単年度予算のほうがいいのかもしれない。問題は運用で、人事評価基準を変えることによる省庁の意識の改革ということだ。

※  ※  ※

ダムのようなプロジェクト型の事業については、予算節約のために談合を排除することや、華美な仕様を避けるというインセンティブが働く。品質保証(つまり手抜きさせないこと)についても、罰則である程度担保されるだろう。

しかし、生活保護のような給付型事業について、予算の節約を人事評価に結び付けることは少々慎重に行わなければならないだろう。節約するために敷居を高くしてしまっては元も子もない。



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