卓話

銚子ロータリークラブで卓話なるものをさせていただいた。テーブルスピーチの訳なのだろう。

audienceは地元財界人30数名、話のテーマはスーダンのこと。

アメリカのバレード誌が2006年に発表した世界最悪の独裁国家はスーダンだった(2位は北朝鮮)。平和基金会というシンクタンク(米)の発表する失敗国家(注1)の常連でもある(2009年は1ソマリア、2ジンバブエ、3スーダン)。

ことほど左様に評判の悪いスーダンだが、先日紹介した言論の自由ランキングでは169カ国中140位と“比較的”マシだ。言論の自由がある社会主義国は知らないが、言論の自由が少しある軍事独裁国家は存在するのだ。

去年おととしと計50日のスーダンロケを行った。もちろん取材ヴィザが取れるまでには時間がかかったし、その目的によっては許可されないこともあるだろう。が、入国してからは何回か警察や軍事務所アメリカ大使館に連れて行かれたこと以外は撮影に支障はなかった。収録済みテープを検閲されたこともない(注2)。だから私の実感も、言論の自由についてスーダンは最悪なところではない。ついでに言うと、役人から意味不明な金品を要求されたこともない。

人々は平気で政府を批判する。南の人がハルツームを批判するだけでなく、南部政府の批判もする。それもカメラの前でも話す。非常に健全である。ヨセパさんは「政府は頼りにならない」と言い、ロダさんは南部軍がジュバに侵攻した時(注3)の恐怖を語ってくれた。

考えてみれば当然なのだが、『アブバとヤーバ』が完成できたのはスーダンに言論の自由がある程度あったからである。この国は独裁国家で失敗国家かもしれないけど、言論の自由が少しはある。そして、それがあったからこそ、ヨセパ・ロダ夫婦と交わした言葉に重みを感じることができたのだ。

言論の自由を失うことは「心」を失うことに等しい。そこは「世界の終り」だ。(注4)


(注1)失敗国家とは、 次の三つを欠いている国だという(Wikiより孫引き)
* 主権に基づく権威(正統性) (sovereign authority)
* 意思決定を行うための目にみえる組織 (tangible organization of decision-making)
* 統合の象徴となるべきもの (intangible symbol of identity)

(注2)20数年前韓国の空港ではテープチェックが必要だと言われ、出国を一日延ばしたことがある。

(注3)1992年7月7日、「サバ・サバ」と呼ばれている。

(注4)いったん失われた「心」を取り戻すことができないわけではないことは昨日の記事で書いた。

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