国際理解教育について考える

International Awarenessと言うそうな。

文部科学省HPには適当な定義が見当たらず、世田谷区作成の文書内に「グローバルな現代社会において自他のよさや価値を認めあい、よりよいものを共に築こうとする共生の思想を育む教育」という記述があるぐらい。

漠然とはしているが、なんとなく外国・外国人についての理解を深め、武力紛争のない世界の実現に資するということなのだと勝手に理解しておこう。

これについて、中小学校の先生方にお話をするという大役を命じられた。当方は『アブバとヤーバ』のPRにもなると不純な考えもありお引受けすることに。

外国のことを知ることは国際理解の第一歩だと言えるだろう。その時に役に立つのがテレビや新聞、書籍などのメディアだ。小中学生だと圧倒的にテレビの影響が大きいかもしれない。

お茶の間にいながらにして、遠くの国で起きていることを知ることを知ることができるのだからマスメディアはとっても便利だ。おかげで私たちの頭の中の世界地図には、いろいろな知識が蓄積されている。

Yahoo Newsのトピックス「アフリカ」を見てみると、「内戦など情勢不安定な国が多く、飢餓や貧困、エイズなどの問題を抱えている。」というリードに続き、国別の関連情報(メディア関係者と読者が作っているらしい)として次のようなラインナップがならんでいる(今現在)。

1 「世界金融危機でアフリカに紛争発生の恐れも」、アフリカ開発銀行エコノミスト(2009年6月7日)
2 生活費ランキング1位のアンゴラ、普通のアパートでも家賃150万円 - (2009年6月12日)
3 ガボンのボンゴ大統領、死去(2009年6月9日
4 ウガンダの反政府勢力がコンゴ北東部で200人殺害、国連- (2008年12月30日)
5 ギニア、ランサナ・コンテ大統領死去後に軍の一部がクーデター(2008年12月23日)
6 ギニアビサウ大統領、軍クーデターで暗殺か(2009年3月2日)
7 ケニア暴動、沈静化への道(2008年1月16日)
8 コンゴ民主共和国(旧ザイール)の反政府勢力人民防衛国民会議は2008年10月、同国東部・北キブ州にある政府軍の戦略的基地を占拠
9 ゴリラ:絶滅の危機 5年で5000頭以上がエボラ出血熱死-コンゴ共和国 (2006年12月9日)
10 シエラレオネ「血のダイヤモンド」内戦、反政府勢力元幹部らに最高禁固52年(2009年4月9日)
11 ソマリア沖アデン湾では、海賊行為が多発している
12 スワジランド、スタジアムの人工芝、「お守り」を埋めるためはがされる (2009年6月9日)
13 ブルンジ、政府軍の兵士を含む11人がアルビノ十数人を殺害した罪などに問われている
14 タンザニア、マラリア予防する「魔法の蚊帳」日本企業も貢献
15 ナイジェリアで横行する「赤ちゃん売買」
16 西サハラと呼ばれる地域をめぐり、領有権を主張するモロッコとサハラ・アラブ民主共和国として独立を志向するポリサリオ戦線との紛争
17 ルワンダ政府は、1994年のルワンダ大虐殺にフランスが積極的に加担したとする報告書を発表した(2008年8月6日)

17のニュースのうち、ほとんどがマイナス面を報道したものであり、紛争、殺害、クーデターがらみが10件。2アンゴラの家賃150万円も、背景にある経済成長を中心に据えるのではなく、物価高騰を前面に打ち出している。

日本国内での報道も事件や事故、社会問題を扱うことが多いから、これがメディアの習性なのだという見方もあるだろう。その情報には特定のバイアスをもったイメージがこびりついている。というより、読者がもとめている(と思われる)情報をメディアは大きく流す。そのほうが売れるからだ。しかし、上記17件には昨年のものも多く、新たな紛争などが起こらない限り報道されないのではないかとも思う。

しかし、そこでも人は暮らしている。

豊かな人も貧しい人もいる。金持ちで素晴らしい人もいれば、金持ちで悪い人もいて、貧乏で性格の悪い人も、貧乏で清く正しい人もいる。もちろんほどほどで、ほどほどの人もいる。

金持ちで悪い人と、貧乏で清く正しい人は報道されるかもしれないが、ほどほどの人が報道されることはまずない。

だから、マスメディアの情報だけからの「国際理解」は、多分に一面的だ。「あー日本に生まれてよかった」で終わってしまうのはまだいいほうで、時に「差別と偏見」の感情をもたらしかねない。

教育現場での「国際理解教育」に存在価値の一つは、その「普段は伝えられないこと」に接する機会を提供することではないだろうか。方法は何でもいい。近所に住んでいる外国人を招いてもよいし、帰ってきた青年海外協力隊員の話を聞いてもいい。生きている「人」についての話を聞くことで、いつの間にか醸成された偏見に亀裂を生じさせることができるかもしれない。

凝り固まったイメージを溶かす場としての「国際理解教育」の実践が進むことを期待する。

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