宇宙の形その1

  • Day:2009.01.09 09:48
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一年の始めくらい壮大なことを考えようというわけで、宇宙のことなどを。

きっかけは昨年から読んでいるこの本。

ポアンカレ予想を解いた数学者ポアンカレ予想を解いた数学者
(2007/06/21)
ドナル・オシア

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以前NHKスペシャルで取り上げていたのでポアンカレ予想が宇宙の形に関することであることは知っていた。その予想とは、

「単連結な3次元閉多様体は3次元球面S3に同相である」

というもの。これでは訳が分からない。NHKではこんな風に説明していた。

「もしもとてつもなく長いロープを持って、宇宙旅行に出発したとしよう。ロープの端は自宅の門柱にでもくくりつける。ロケットと門柱はロープでつながっている。航行中ロープは宇宙空間に伸びていく。長い長い宇宙旅行の末帰宅して、ロープの両端を引っ張ったときに、ロープが絡まったり引っかかったりせずに回収することができ、そして何回旅行してもするするとロープが回収できれば、宇宙は球と言えるのではないか」

上の本にはポアンカレ予想を理解するヒントとして、二次元空間つまり地球の表面で同様のことを考えてみた場合のことが書かれている。

まだ地球が丸いなんて知らないとして、ひもを持って旅に出る。建物の玄関から入って裏口から出ることや、トンネルを通ったり、地下にもぐったりはできないとする。どういう経路かよく分からないが、無事帰宅できたとしよう。ひもの両端を引っ張る。ヒマラヤの峰々にひっかかったりするかもしれないが、なんとか滑らせればひもは無事に回収できそうである。球面上に這わせたループはすべて一点に縮めることができる。このような状態が「単連結」と言われる。これを三次元空間で考えてみるのがポアンカレ予想と言えるであろう。

もうひとつ興味深いことがあった。地球が丸いのはマゼランの世界一周で実証されたのだと私は思っていた。しかしマゼランはスペインから西に向かい、南米の南端の岬(マゼラン海峡)を回って、アフリカ喜望峰を経由してスペインに帰ったにすぎない。つまり緯度線に沿って一周できることを実証しただけである。実はこれだけでは地球が球だとはいえない。円柱形かもしれないではないか。

マゼランの実証に加えて、一つの仮定を考えてみよう。

「地球上の二次元平面には果てがない。いつまでもどの方向へも進み続けることができるし、元の場所に戻ってくることもある」

この仮定を加えることで、地球=円柱説は却下される。円柱の側面が底面と出会う場所は、「世界の果て」だから。

ではこの仮定を満たす形状は球以外にありうるのだろうか?

円柱の底面同士がくっついたらどうだろう。果てと果てが結びつけばその物体の表面はどこまでも歩いていけそうである。それはどんな形かというと、穴のあいたドーナツである。


torus
このドーナツ状の物体を位相幾何学では「トーラス」という。トーラスの表面には「果て」はない。

トーラス上に住んでいたとして、またひもをもって旅行に出たとする。まっすぐ進んでいって、自分の家にたどりついたとする。そしてその時、自分の住んでいるところは球だと思うかもしれない。でもトーラスは球ではない。そしてどうしてもひもを手繰り寄せることのできない場合がある。ドーナツの輪をくぐって一回りしたときだ。

マゼランが航海中、暴風雨に出会い数十日間も空が厚く雲に覆われていたとしよう。そのときマゼランが通過していたのはトーラスの内側の表面上であり、本来であれば見えるはずの反対側の内側が見えなかった。マゼランがトーラスの外側に出てきたとき天気は回復し青空が見えた。数日前までは頭上に同一平面上に存在するものがあったなんて想像もしなかった。

というようなことが考えられないわけではない。

ポアンカレ予想を2003年に証明したグレゴリー・ペレルマンというロシアの数学者がまた興味深い人だ。フィールズ賞を辞退し、クレイ研究所からの100万ドルの賞金にも関心を示さなかった。現在は数学教師だった母親の年金で生活し、何かを研究しているらしい。
彼は言う。
「フィールズ賞に私は全く興味がありません。証明が正しければそれで十分であり、表彰などが不必要なことは、誰もがわかっていることです。」

さて、終りに古代インドの人たちが考えた宇宙の姿。

indianview
ひもがとじくさりそう。


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