企業法人格の廃止

読んでいない本についてあれこれ言うのは気が引けますが、昨日の読売新聞の書評に気になる本が取り上げられていました。

暴走する資本主義暴走する資本主義
(2008/06/13)
ロバート ライシュ

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著者はオバマ民主党大統領候補の経済顧問。渡辺靖氏の評によれば、著者は自由貿易・規制緩和・民営化が加速した超資本主義が消費者や投資家としての選択肢を豊かにしながら、労働者や市民としての権利をないがしろにしていると憂え、元来人間に帰属しているはずの義務と権利が企業にも付与されているために、民主的な意思決定プロセスを歪めているという。

資本主義と民主主義は一緒くたに語られることが多いが、この本では現在の両者の関係を解き明かし、企業法人格の撤廃が両者の共存共栄を図る道だとしている点が非常にユニークである。ぜひ読んでみたいと思わせる。

企業法人格の撤廃とは具体的には、法人税の撤廃、雇用を通した社会保障の全廃、企業の刑事責任追求の廃止などを提言している。アマゾンレビューでは政治献金をする権利が否定されるべきことと指摘されている。たぶん別の文脈であろうが、人格が法人格に歪められるあるいは法人格に責任を転嫁してしまうことが大きな問題だと考えている私にとっては、とてもそそられる提言である。

冒頭にはこんな一節があるそうだ。
「普段の買い物を大型ショッピングセンターやオンラインショッピングでする人が、なぜ地域の個人商店の衰退を嘆くのか」
そしてこれを「偽善的行為」と呼ぶ。
評者はこれに、「思わず膝を打」ち、「我々の中にある二面性」への開かれた態度に著者の知的誠実さを感じた」と書いている。どう開かれているのか、ここが問題だろうと私は思う。

「偽善的行為」と呼ばれるこの行為は、とても自然な行為である。人はショッピングセンターと地域の個人商店の両方を同時に欲しているのである。それが不可能なことと決め付けて、論理を先に展開していってしまっているとしたら、少々残念である。そこを確かめたい。

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