身土不二のできる場所

経済学の世界では貿易により比較優位な生産物を交換することでトータルの付加価値が大きくなります。
例えば、とうもろこしに比べて効率的に車を作れるA国と、車よりも効率的にとうもろこしを作るB国があったとしたら、A国は車生産に集中してこれを国内消費とB国への輸出にまわし、とうもろこしはB国から輸入する、B国はとうもろこし生産に特化するというようにすれば両国の富の合計は増大する、といわれています(注:たとえA国のとうもろこし生産がB国のとうもろこし生産よりも効率的であったとしてもA国はとうもろこしを輸入したほうが経済的富は増えます)。ですから自由貿易協定(GATT)があるわけです。

これと真っ向から対立する考え方が、身土不二(しんどふじ)です。これは「住んでいるところで旬の物を食べるのが健康によい」「身体と土地は一体だ」という考え方です。だからA国の人はB国のとうもろこしはおろか国内であっても遠くでとれたとうもろこしよりも隣の畑でとれたとうもろこしを食べる方がよいことになります。
この言葉は昔はその地域の気候・風土でできたもの、伝統的に食べられてきたもの(調理方法も含めて)は、そこに住む人の体にもよい、ということを意味していたのでしょう。
現代ではもう一つ、別の意味が付与されています。それは、「誰がどんな風に作ったか分からないようなものは食べてはいけない」という意味です。中国ギョーザの例を見ても、口に入るものを選ぶときは価格だけではないのです。

お隣の銚子市は食料自給率が253%だそうです。品目によるばらつきがあるでしょうから単純には言えませんが、身土不二の生活を実現しやすいところだと言えます。
銚子といえば魚介類や野菜・果物が有名ですが、西の台地では畜産も盛んです。昨日、その一軒にお邪魔して、ハムとウインナを譲っていただきました。山崎農場というそのお宅では豚を飼育していますが、豚肉の加工を別の所に委託して、自宅で販売しています。ウインナは180gで400円、ボンレスハムは400~450gが1400~1600円です。保存料は使っていないという安心感に加えて、価格の点でもお得感がありますね。

すべての人が身土不二生活をできるわけではもちろんありません。銚子の人たちも車は必要でしょうし、それを買うには253%の食料のうちの多くを地域外の方に買ってもらわなければなりません。その車は、農地をつぶして建設した工場で作られており、そこで働く人々は食料品のほとんどを地域外から購入しているかもしれません。現代において身土不二的なライフスタイルを追求することは、他者の「非・身土不二」的なライフスタイルのうえにしかなりたたないという自己矛盾を孕んでいます。

それでもやはり、地元に旨いものがあるというのはいいことなのです。ありがたいです。

yamazakinoujou

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