派遣労働者の孤独

秋葉原事件の直後、2チャンネルには派遣労働の問題についての書き込みが多数あり意外な印象を受けました。アメリカの同種の制度と比較しての冷静な批判や、経済界への不満が溢れていました。

加藤被疑者がああいった大変な罪を犯した動機は、いろいろな要因で形成されているのでしょうが、不安定な環境が一因なのだろうと私も思います。

私が以前働いていた職場でもたくさんの派遣労働者が働いていました。私自身、複数の派遣会社に人選依頼をし、「職場訪問」を受けたこともあります。

その職場はよくも悪くも優しいところでしたから、派遣の方達も一緒、という雰囲気はありました。が、彼女たちが(ほとんど女性だったので)どのように感じて日々働いていたのかと思うと心許ない思いです。

給与面や男女雇用機会均等法の抜け道という問題もあるでしょうが、労働者派遣システムの最大の罪は、雇用者と指揮命令者が異なることです。自分の働いている職場に帰属意識が持てない、上司に直接文句を言うことができない、同僚の正職員と上司(指揮命令者)の悪口で盛り上がり連帯感を感じることができないことです。派遣先の組合にも入れませんし、孤独感を覚えないのが無理というものです。

「人は誰でも孤独なんだから、そこから出発しなければ」と識者は言います。それは正論です。でも、孤独に陥らざるを得ない環境を作っておいてそれはないだろうと考えます。

労働者派遣法が施行されたのは1988年。バブルの頃ですから雇用側の人件費抑制というよりはやはり男女雇用機会均等法の補完的な意味合いが強かったのでしょうか、それとも雇用の流動化を促進するということなのか。その後もっぱら「短期間に調整可能な人件費」として重宝されるようになります。

労働者派遣システムがなければ失業率が増加するとよく言われます。賃金の下方硬直性(景気が悪くなっても賃金を下げられない)の所為で、別システムを導入せざるを得ないのだと。実際そうなのかもしれません。失業者の孤独と、派遣労働者の孤独を比較すれば後者のほうがまだ収入があるだけベターだと考えられなくもありません。しかし、正職員に囲まれていながら感じる孤独は、仕事がなくて一人で味わう孤独よりも残酷なものに思えます。

ある時、同僚に話したことがあります。
「派遣が増えることで、戦後人々が血を流して獲得してきたものをないがしろにしてしまうんではないだろうか?」
彼の反応は覚えていませんが、賛意を得られなかったことは確かです。

Comment

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  • 2008/07/18 14:34
あらら
コメントありがとうございます。管理者だけなんて言わず、オープンにしてくださいな。YouTube見てくださって感謝。
  • 2008/07/23 21:39
  • おおみや
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