連合赤軍のジレンマ

  • Day:2008.03.28 11:11
  • Cat:映画
6人の仲良し中学生グループがありました。
リーダー格をA、他をB~Fとしておきます。とても素行の良い、ごく普通の男女です。

ある日彼らは、不良グループにカツアゲされます。
その不良グループはいわゆる、「番を張って」いて、中学校では我が物顔に振舞っています。生徒たちはみんな恐怖におびえていました。

6人は悔しくって、復讐を誓いました。平和な学校を実現したいと思いました。
不良グループを襲うために、6人は金物屋で包丁や金槌を万引きしました。
Aは、これは犯罪ではなく、平和な学校を実現するための正当な手段なのだと言います。
翌日、Fは万引きしたことが怖くなり、グループから離れていきました。
残った5人は原っぱで喧嘩の訓練をします。でもFがいつ親や警察に万引きのことを話しはしないかと不安でした。そこで、家に引きこもっていたFを呼び出し、折檻しました。そのうちFは動かなくなり、死んでしまいました。

5人はもう家に帰れず、原っぱを基地にして訓練をします。
Aは、これ以上脱落者が出ないように、暴君として振舞うようになりました。
Eは、元々非力ですが一生懸命に喧嘩の練習をしていました。AはEが次に脱落するのではないかと疑います。ある夜、AはEに、絶対に脱落しないことを表明せよと迫ります。
Eは「脱落しません」「不良グループと戦います」と何度も叫びますが、Aは納得せず、Eを殴り始めました。

Bは、Aのしていることは理不尽だと思いながら、なすすべがありません。
CはAと一緒になってEをこずいています。
Dは黙って事態をみているだけです。

ABCDの腕力は同じです。BがCDのうちいずれか一人及びEと組めば、A(及びもう一人)に勝つことができます。Aに勝てば、グループは解散になりますが、不良グループに牛耳られた学校は変わらず、万引きと傷害致死の事実も消えません。Aに加担すれば今夜はしのげますが、明日はわが身かもしれません。

このとき、Bのとるべき合理的な行動は何か?

若松孝二監督の『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』を見ました。彼らが自滅していったプロセスをゲーム理論風にすると以上のように考えられるかもしれません。結局彼らは、あるものはAに加担し、ある者は脱走し、ある者は次の犠牲者にとなっていきました。

3時間を超えるこの映画は、60年安保からあさま山荘までを描いた大作です。
『光の雨』が榛名山での出来事を中心にしているのに対して、若松監督はあの時代の中に事件を位置づけています。逮捕者が1000名前後出るような事件が続き、「革命」が実現できると信じても不思議ではないような時代、それを前提としなければいけないということでしょう。

見終わってから秋葉原で買い物をしようと予定していたのですが、あんまりにもおなかがいっぱいになってしまったので、花園神社で花見をしながら日本酒を飲み、京都の友人に電話しました。誰かと話さないといられない状態でした。

森や永田のキャラクターのせいだと思いたいのですが、この二人がいなくても、誰かがAの役割を果たしていたでしょう。粛清は権力闘争の過程では珍しくありません。今のロシアでも起こっていることです。ただ、連合赤軍事件は、「総括」要求というしつこさが極めて異常な色彩を帯びています。日本的なるものの一つなのだとは思いたくないのですが。

Comment

DVDで見て
これでもかこれでもかと総括の名のもとの、凄惨なリンチ殺人が
続くのに、見終わったあと、彼ら(森、永田役に対してさえも)に
対しての嫌悪感が思ったほど残らなかったのは、きっと若松監督が
彼らをただ単に極悪非道の犯罪者として描こうとはしなかったから
だと思いました。
オウム真理教の数々の事件もこんな風に起こったのではないかと
思いました。
一番印象的だったのは最後のあさま山荘で最年少の少年兵が
「勇気がなかったんだよ!」と叫ぶシーンでした。
間違ってることは間違っているという勇気が、自己の行為を
客観視することが、大切なんだと感じました。
  • 2009/04/16 02:49
  • 文学少年
  • URL
それができない状況があるのですね
高橋伴明監督の「光の雨」(立松和平原作)では、「総括しろだって、チキショー」というセリフが最後のほうに発せられます。裸の王様ではないですが、本当のことを言うことがとても難しい状況があるんだと思います。そうならないために何ができるのか、とても重要なテーマだと思います。
  • 2009/04/16 19:41
  • omiya
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