森田健作知事の資質

♪恋のため愛のため まっすぐに生きるため

ご存知、「さらば涙と言おう」の2番の一節である。個人的にはとっても好きなフレーズ。
森田健作氏に投票しなかった私にとっては、彼のこの「まっすぐ」なイメージが大きな要因であった。
政治家はまっすぐだけではやっていけないんじゃないか?正論で相手を納得させられるだけの力量はないのではないだろうか?ということは結局周りの人たちから操られるだけではないか・・・・。

結果的に大差で当選したということは、私が世論と遊離していたということでもあろう。小学3年生の時に巨人ファンをやめてから、メジャーとは縁がない。

その森田知事のイメージを覆すようなことが判明した。「完全無所属」と宣言していたのに、「自由民主党東京都衆議院選挙区第2支部」の代表を務めていたのである。

一瞬、なかなかやるじゃないか、と実は思ってしまったのである。政治家の資質があるじゃない、って。

と思ったのは、やはりどこかで政治家は「腹芸」や「嘘」に長けていないといけない、真っ正直だけではやっていけないだろうという考えがあるから。森田氏も正直だけではないんだと、少し見直しかけた。

でもやっぱり変だと思い直したのは、「腹芸」を使うのは、それが結果的に人々の為になる場合に限るのだと気づいたから。

自分の利益のための「嘘」や「腹芸」は唾棄すべきことだ。

鬼泪山の公約も、そうでないかと疑ってしまう。
スポンサーサイト

知事選の争点の一つに

29日の知事選候補者5氏に対して、読売新聞がアンケート調査を行った。

医療・福祉・子育てといった設問と並んで、鬼泪山からの土砂採取の是非を問うているので引用する。

*   *   *

(届け出順、敬称略)
○森田健作
国有林破壊、水源汚染、海洋汚染、景観破壊、産業廃棄物不法投棄など、多くの無視できない問題を含んでいるため反対である。

○八田英之
さんざん破壊されてきた房総の山と自然を、これ以上痛めつける採取には反対。富津市の貴重な水源地域も保全できなくなる。

○西尾憲一
鬼泪山民有地では土砂採取を認める。官有地については採取は認めず、反対。自然破壊に対する防波堤としたい。

○白石真澄
審議会での議論を見守っていきたい。地域経済の発展、自然環境との調和等の視点から、総合的な産業としての振興計画が必要だ。

○吉田平
禁止する。もともとアクアラインなどの県内大規模工事に限定されてきたものだ。地域住民の生活と豊かな里山を守る。

*   *   *

一番意外だったのは森田候補の回答だ。自民党の一部から支援を受けている氏のことであるからこの問題については採取に賛成だろうという先入観があった。併せて訊かれている八ツ場ダムと三番瀬(第2湾岸道路)の件ではいずれも慎重な回答をしているのに、鬼泪山については歯切れがいい。自民党県議のなかにも採取反対の人がいるということなのだろうか?それとも大した問題ではなくどっちでもいいということか。だとするとどうして土石審メンバーの自民党県議4人全員が採取賛成派なのか不思議だ。

県議を辞めて立候補した西尾候補は、官有地については認めないという立場。土石審で議論されているのは国有林であるから、つまり認めないということ。この人が土石審メンバーだったら面白かっただろうと思う。それとも自民党を離れてから発言し始めたのだろうか。話はずれるが民有地から土砂・土石を採取する場合に何らかの許可が必要なのかどうか調べてみたところ、河川からの土石採取(河川法で規定)や、海岸での土砂採取についての制限しか見当たらなかった。

白石候補の回答は「総合的な産業としての振興計画が必要」だというもの。マクロの視点から見て計画を作るというのは行政の役割であるからこの回答は非常に優等生的である。しかし現実にはマクロ経済での「正解」だけでは、特定の現場で生じている軋轢を解決できないことをみんなが知っている。むしろ現場で起こっていることについての判断を下したうえでどう枠組みを組み替えていくのかが問われているのだから、鬼泪山についての態度を決めてから全体の計画を考えていくべきなのではないか。こういうことを書くと「合成の誤謬」と思う方もいるかもしれないが、すでに合成はなされているのであって、これをアップデートするのにミクロケースを検討するという段階にあると付け加えておく。

八田候補、吉田候補ともに土砂採取には反対。5人のうち4人までが反対で、白石候補だけが慎重な回答という意外なアンケート結果であった。

鬼の目に泪

キナダヤマという名前からして何かしら由来がありそうと思って調べたら、初めて日本書紀を手に取ることに。

まずは地名辞典で調べる。
「桜井村の北東、鹿野山の西に位置する。・・・日本武尊(やまとたけるのみこと)の東征に鬼のような賊が涙を流したという所以がある。」

日本武尊は西は九州熊襲、東は陸奥を平定したと伝えられる。西征と東征である。上総地方に訪れるのは東征の途中であるが、古事記にも日本書紀にも「鬼のような賊が涙を流した」というエピソードは見つからなかった。

代わりに面白いことがあった。古事記と日本書紀では東征のルートが異なるのだ。

古事記:
伊勢を出発して相模から上総に渡り、「そこからさらに奥へお進みになって、ことごとく荒れ狂う蝦夷(えみし)どもを平定し、また山や川の荒れすさぶ神々を平定して、都に上っておいでになる・・・」(古事記 (中) 全訳注 講談社学術文庫 208より)
その後足柄坂より甲斐を経て帰っている。

日本書紀:
上総に渡るまでは同じ。「上総から転じて陸奥国(みちのくのくに)に入られた。その時は、大きな鏡を御舟に掛けて、海路より葦浦(あしのうら:房総半島を東に廻った海岸)に回り、玉浦(たまのうら)を横目に過ぎて、蝦夷の住む境に到着された」(日本書紀 上 (日本の古典をよむ)より)
日本武尊は蝦夷を残らず平定して、常陸、甲斐国、信濃を経て帰る。

古事記では上総に渡ってからどの程度奥に進んだかは分からないが、日本書紀ではずいぶんと細かく書かれている。房総半島を東に廻った海岸とは、やけに身近な世界だ。玉浦は九十九里浜だといわれている。

鬼泪山の由来は、記紀には残っていない話があることを教えてくれる。

鬼泪山の論点整理

今日は忙しい。

一昨日土石審から帰宅後県保安課に資料をお願いしたところ、今日東京地裁から帰ってきたらもう届いていて感動。で、ざっと拝見して論点を整理する。

1.答申の整合性
直近に開かれた土石採取対策審議会(平成6年3月25日)の答申は、正式には「富津市桜井地先における砂利採取に関する答申」という。前回石井保安課長の発言として引用した部分は「君津地区に賦存している砂利は、本件の貴重な資源であることから、その採取に当たっては、本件の発展に関連の深いプロジェクトに使用するほか、地元事業者の育成という観点からの活用方策に配慮すること」とある。
その前の「富津市桜井地先における大規模砂利採取に関する答申」(昭和63年7月1日)では若干表現が異なっていて、「東京湾横断道路建設事業のような本件の発展に関連の深い、公共性の高いプロジェクトに使用するよう配慮するとともに、その監視体制についても検討すること。」とあり、地元事業者には触れていない。

砂利と山砂という違いはあるが、皆さんこの答申を前提に議論しているので一応これに倣う。開発事業が認められるポイントは以下の3点;
(1)本件の発展に関連の深いプロジェクト
(2)公共性の高いプロジェクト
(3)地元事業者の育成に資すること

問題はそれぞれが「かつ」で結ばれるのか「または」なのかである。63年答申だと(1)かつ(2)に配慮、6年答申では(1)または(3)と読める。
(1)~(3)をすべて「または」でつなげば開発事業計画を門前払いする理由はない。「かつ」で結べば羽田空港の拡張が千葉県の発展に資するとは思えない(逆に成田の地盤沈下を招くだろう(注))から、事業認可は困難になるだろう。

上記(3)に関連するものとしてきなだ国有林同業界からの請願書で引用されているのが、6年答申の「その他」にある記述である。
「地元事業者による組織的かつ秩序立った(ママ)計画が樹立するならば、将来的に、地元市と調整しつつ、優良な地元事業者の育成という観点から検討していく」

この部分の直前には、「本審議会において示された基本方針に沿った」という文言があり、結局は上記(1)~(3)の問題となる。

もちろん過去の答申に完全に縛られるわけではなく、さまざまな事情の変化を考慮して検討するのであろうが、過去の答申を変更するのであればそれなりの論理展開が必要となる。

2.ちばぎん総研の調査報告書の位置づけ
「国有林104・105林班開発事業に関する検討調査 調査報告書」という名称である。骨材の定義・分類に始まって、定性的に「富津市では・・・粗目砂は枯渇気味」と述べ、開発事業の経済波及効果を推計し、「事業化はやむをえない」と提案している。

1億2841万㎥の山砂を48.3年で採取したとして、直接経済効果は年間32.4億円、50年間で1621億円で年間雇用創出数は284人と推計している。

※  ※  ※

私の見る限り、欠陥の多い調査である。ここで行われているようなプロジェクト評価分析をbefore/after分析と言う。実施したあとと実施する前を比較するものだから。どんなにひどいプロジェクトでも実施すれば多少の経済効果はあるだろうから、before/after分析はあまり意味がないし、ここで言う経済波及効果は、鬼泪山開発の効果ではなく、羽田空港拡張工事に伴う効果の一部にすぎない。

なぜならば、羽田空港拡張工事に伴って、どこからか骨材は調達される。もしも鬼泪山が開発されなかった場合には、他の地域から骨材が採取される。その一部または大部分が県内から運ばれると想定すると、この開発事業が認可されなくても千葉県内でのある程度の経済効果が生じる。

鬼泪山開発事業の評価を行うには、これを実施した場合としない場合を同じ時間軸で比較する分析(with/without分析と呼ぶ)を用いるのが妥当だ。さらに言えば代替プロジェクト(県内の私有地から採取する場合や、山砂の代わりに何かを用いる場合(できればだが)など)を比較するのが大学生の卒論に求められるレベルである。その点がまずこの調査報告書の信頼性を損なっている。

もう一つは社会的便益費用(social benefit/cost)に関する記述が少ないこと。「「山砂採取」が自然環境に与える悪影響」と「「山砂運搬」が地域社会に与える悪影響」をあわせてたったの1ページである。山がなくなることによる植物・生物相の変化になど思いも及ばぬらしい。騒音・粉塵・振動公害を予防するためのコストは、経済効果から差し引かねばならない。

このように欠陥のある調査報告書をどう位置づけるか。新たな調査を実施するのかという点も大きな論点となろう。そういえば審議会委員には社会科学系の人がいない。プロジェクト評価ができるのだろうか?

(注)このような狭量な議論はしたくないところだが、議論としては持ち出さざるを得ない。

千葉県土石採取対策審議会

1時半開始で12時から傍聴受付ということだったのでちょうど正午に会場へ到着したらもう遅かった。定員120名のところ、椅子を増やしてすでに150人が会場に着席しており、ロビーにも十数人いる。県の審議会を傍聴するのは初めてだが、なかなか盛況と言っていいだろう。

服装や人相で判断するのはいけないことかもしれないが、どうしても思ってしまう。ジャケットにネクタイ姿の男性は賛成派、普段着の中高年女性や脂っ気のない年配の男性は反対派か。若い男性は業者側の従業員か、学生風の男女数名はなんだろう?卒論のテーマにでもしているのだろうか?圧倒的に少ないのは若い女性、新聞記者にしかいない。自分はどっちに見られているのだろうとも思う。単なる野次馬で来ているわけでもないが、反対しに来ているわけでもない。心情的には鬼泪山が存続してくれればいいなとは思うが、見たこともない山にそんな感情を抱くのも僭越だろう。それよりもむしろ、ひとつの山が消えてしまうか、存続するかという分岐点に立ち会いたいという心情だ。そこでは誰が何をどう考え、どう動くのだろうか?

あふれた人たちが要望したためか、県商工労働部保安課のいきな計らいなのか、さらに7つの椅子が窓際通路に設けられ、それでもあふれた十数人は立ち見を許された。東京地裁が立ち見を認めないのに比べれば遥かにいいと思ってしまうのは去勢された国民だからだろうか。

立ち見のおかげで各委員の顔がよく見えた。会場はフラットなので、後ろの座席に座っていると何にも見えない。マイクを通じた声と、資料を首っ引きで複雑な説明を理解しようと努めるしかない。こちらは資料がないので、前の人のを覗き込む。請願書やちばぎん総研の報告書が添付されている。こんなに親切な資料を出してくれるとはちょっと驚きである。

14名の委員のうち、丸田恵美子東邦大学教授は欠席だった。少ししか調べていないのだが、この人の立場からは国有林の保全という結論が導かれるだろうと思っていたので少々残念。ただ、今日は初回なのでこれまでの経緯や請願の内容といった、「読めばわかる」ことしか議題にはなっていない。

冒頭、会長が選出された。西田孝千葉大学名誉教授の提案で、渡邉勉千葉工業大学教授が会長に、山田利博東京大学教授が副会長になった。これはこんな意味をもつ。

千葉県行政組織条例32条3項にこうある。
「会議の議事は、出席委員の過半数をもつて決し、可否同数のときは議長の決するところによる。」

前回記したように、15名の委員のうち7名は賛成派と思われるが、西田教授はそこには入っていない。これで反対派はat most7人である。賛成派は、たったひとり切り崩せば勝てる。
ただし、この審議会ができるのはあくまでも「知事への建議」であり、最終的な判断は知事が行う。堂本知事は本件について慎重な姿勢を示しているが、3月の選挙で誰が当選するかによって結果は異なるだろう。

会議の内容は次の通り。
1.事務局から、これまでの土石審の答申内容と今回の請願の内容についての説明があった。
2.上記説明に対して吉本充委員から、「今回の開発計画地域は104林班すべてと、105林班の一部(104の南側部分)である」との指摘があった。
3.請願に、きなだ国有林同業組合の依頼によりちばぎん総研が作成した調査報告書が開発正当化の根拠となっていることから、竹内圭司委員から、同報告書の内容を前提とするのではなく、独自の調査が必要だとの意見があった(少々聞き取りにくかったので間違いあればご教示乞う)。
4.吉本充委員(富津市県会議員)から、次の意見があった。
(1)地下水が枯渇するのではないかという地元の心配がある。以前104林班の開発の際実施した環境アセスメントがあるので、資料として出してほしい。
(2)本件に関する風評として、山砂を洗った水が川から海に流れて汚染されるという話があるが、水は貴重なので循環させて使っているので問題ない。
(3)もうひとつ、山砂を取った跡地に産廃や残土が埋められるという話があるが国有林なのでそれはありえない、「ためにする反対」だ。

次回は現地視察、4月以降になる。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。